• フォロー|
  • ログイン|
  • ブログを作る!(無料)

「うそ日記」の更新通知を受け取る場合はここをクリック

ブログトップ

新海岳人のうそ日記
by taketoshinkai
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
カテゴリ
全体
うそ日記
うそ日記(新国家)
うそ日記(猫型ロボット)
うそ日記(エイドバンド)
うそ日記(こりん星)
ベストセレクション
ホーム
以前の記事
2006年 04月
2006年 03月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
フォロー中のブログ
日記は新海
最新のトラックバック
Boyd Codding..
from Boyd Coddington
Philadelphia..
from Philadelphia U..
Natural Born..
from Natural Born C..
Gingervitis
from Gingervitis
Waukegan Exp..
from Waukegan Explo..
Chip Foose
from Chip Foose
Anderson Silva
from Anderson Silva
Waukegan Exp..
from Waukegan Explo..
Fire In The ..
from Fire In The Sky
Michael Pitt
from Michael Pitt
その他のジャンル
  • 1 車・バイク
  • 2 ゲーム
  • 3 政治・経済
  • 4 メンタル
  • 5 歴史
  • 6 法律・裁判
  • 7 競馬・ギャンブル
  • 8 ネット・IT技術
  • 9 哲学・思想
  • 10 イベント・祭り
ファン
記事ランキング
  • 無言電話 最近、僕の家には無言電話...

  • 夢の中へ 僕は大事なものをどこかで...

  • 家族の風景2 家族の風景(こっちを先で...

ブログジャンル
画像一覧
エキサイト
XML | ATOM

Powered by Excite Blog

個人情報保護
情報取得について
免責事項
2005年 02月 22日
つもり貯金
上京をきっかけに一人暮らしを始めた。

二十年弱も実家と言う監獄に閉じ込められていた僕は、開放感に浸っていた。
寝る時間だって気にしなくていい。タバコだっておおっぴらに吸える。ここでは言葉にする事もはばかられる事だって、思う存分出来るのだ。ああ、一人暮らしってなんて素敵なんだろう。
とは言え、寂しくないと言ったら嘘になるのだけど。

しかし僕は、ほぼ勘当同然で家を飛び出してきてしまったため、仕送りはおろか、親の顔を見に帰る事すら出来やしない。
でも母さん、僕がいつかビッグになったら会いに行くからね。それまでお別れだ。

とにかく僕にはお金が無かった。
こんな六畳一間のボロいアパートだって、東京じゃけっこうな家賃がかかる。それに加えて生活費や交際費。もともと少ししか無かった貯金も底を尽き、バイトだけじゃどうにもならなくなっていた。

そこで僕は「つもり貯金」を始めることにした。
つもり貯金とは、勝手に「買ったつもり」「使ったつもり」になって、浮いたお金を貯金すると言うもので、想像力だけは人一倍の僕にはぴったりの節約法だ。

目を閉じて、欲しかったものを手に入れた自分を想像する。

先ずは前から欲しかったMac miniにしよう。あんまり大きいパソコンじゃ、ウチの
六畳一間じゃ入り切らないからね。でもこんだけ小さいと、くしゃみしたらどっか行っちまいそうだな。なんつって。だはは。

えーと次はやっぱりマイカーだな。どうせならでっかくてかっこいい車がいいや。おっ、このデコトラってのいいんじゃない?派手だし、誰も乗ってないだろうし。
でも買ったはいいけど置く場所が無いなあ。まあいいや、捨てちゃえ。

よし!もうこうなったらニッポン放送も買い取っちゃおう!
ライブドア?フジテレビ?よく分かんないけど金さえだせばいいんでしょ??
ほら、お金なんてタダなんだから、いくらだって払うよ。

僕の欲求はとどまる事を知らなかったが、別にそれで困るという事も無かった。
なんせ全部「つもり」なのだ。目を閉じればそこは、僕の願いがすべて叶うワンダーランド。この世界での僕は、誰よりも裕福だ。
それでも僕は満たされなかった。僕は、ホームシックになっていたのだ。
おいは、母さんの手料理が食いたいとです(訛り)。

僕は目を閉じ、いつものようにつもり貯金を始めた。でもそれは、貯金したって一円の得にもならないもの。なのに僕にとっては何より大切なもの。母さんだ。
ああ、今日はいつもにも増して調子がいいみたいだ。だって母さんが、こんなにリアルに…。

「アンタ、目つぶって何しとるんかね」
「母さん!本物の母さん!!」
「本物って何よ」
「いや、こっちの話たい」
「まったく心配になって見に来てみれば…。でもお父さんには内緒だけん」
「はは」

会いたいっていう想いが伝わったのかな、と思った。そんな事恥ずかしいから、絶対口には出さないけどね。
その時、僕のおなかが大きく鳴った。そりゃそうだ。食べた「つもり」になってるだけで実際にはここんとこ何も食べてないんだから。
母さんがあきれたように口を開く。

「あらあら。アンタ食べてないんか」
「うん。あんまり」
「しょうがない。じゃあこれで何か旨いもんでも食べるとよか」

そう言って母さんは、割り箸を僕に渡した。
by taketoshinkai | 2005-02-22 01:06 | うそ日記
<< カミングダウト 彼氏と彼女の事情 >>

ファン申請

※ メッセージを入力してください