2005年 01月 18日
父に王位を譲った僕だったが、父の突然の死により再び王位へつく事になった。
僕が王子の地位で安穏としていた間に、国の財政は立ち直っていたようだ。 親父、あんたはすげえ人だったんだな。親父にオーストアを任せてほんと良かったよ。これからはまた僕がこの国を守っていきます。頼りないかも知れないけど、天から見守っててくれよな。オーストアは、僕と親父の国なんだから。 ああ、「親孝行、したい時には親は無し」って言うけど、それって本当なんだなあ(ちょっと違うか)。 久しぶりの王の仕事にも慣れてきたある日、僕の元に一人の商人がやってきた。 「こちらの服は、世にも不思議、バカには見えない服でございます」 「ほう(見えないなあ)」 「どうですかこの柄?素晴らしいでしょう?」 「うん、まあ…いい、ね」 「プラダなんですよ」 「(はっ)あ、もしかしてこれ、バカには見えない、でも賢い人にも見えるとは一言も言ってませんよ、とか言うつもりじゃ…」 「王様、見えないんですか?」 「いや、別にそういうわけでは…うん、見えない」 「さすが王様!王様の仰る通り、これは誰にも見えない服なのでございます」 「やっぱり!だましたな!」 「最後まで聞いて下さい。確かにこの服は誰にも見えない、と言うか服ですらありません。空気です。しかし、もしこの服を着た王様が『これはバカには見えない服だ』と言って国民の前に現れたらどうなるでしょう?」 「話が(服も)見えないな」 「バカな国民や子供は『王様は裸だ』と言って騒ぎ立てる事でしょう。しかし、賢い人間はそのバカな国民たちにこう言います。『バカ!空気を読め!そんな事言ったらどんな罰をくらうか分からないぞ』と」 「そういうもんかなあ」 「そういうものです。そして彼らは『王様はそんな事分かってやってるんだ』と、つけ加えるはずです。そこでようやく、バカな国民たちは気付きます。『この服は、そう言う意味でバカに見えないと言っていたのか』と。『自分を犠牲にしてまで僕らにそれを教えてくれた王様はやっぱり素晴らしい』と。どうでしょう王様?国民たちのために、この服、買っていただけないでしょうか?」 僕はもう、ただ頷くしかなかった。 僕は早速服を脱ぎ、裸で国民の前に姿を現した。 「これはバカには見えない服である!しかもプラダ」 国民たちは驚いていた。裸で王様が登場したのだ、無理もない。でもこれは、お前たちのためにやっている事なんだよ。僕はみんなの父親なんだ。父親は子供のためなら、時には犠牲を払うさ。オーストアの歴史はみんなで作っていこう。エイ・エイ・オー! 親父、見てくれているかい?俺、いい王様になるよ!! それから数週間、何故か僕の支持率が大幅に下がったらしい。 「親の心子知らず」ってね。
by taketoshinkai
| 2005-01-18 17:20
| うそ日記(新国家)
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