2005年 02月 19日
「あれ?なんで俺がもう一人いるんだ!?」
なんで?どうして? 起き上がった俺の目の前には、いつも鏡で見る顔があった。 状況が飲み込めない。こんな時は大きく深呼吸をして、情報を整理するが吉。 ええと、確か俺は学校に行こうとして、道路を走っていたはず…あれ?その後の記憶が無いや。なんで俺は倒れてたんだっけ? 俺は頭を抱えようとした。しかし、それは未遂に終わる。 頭を抱えようとした手を見た俺が、驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまったからだ。 「…これは、これは俺の手じゃねえ!」 10分が過ぎ、俺はだんだん平静を取り戻した。 つまりはこういう事なのだ。俺は学校に向かって走っている際に、今俺の目の前にいる奴とぶつかった。その強いショックで、俺とそいつが入れ替わってしまった…。 言ってる自分が恥ずかしくなるような推理だが、それ以外考えられないのだからしょうがない。それに俺は、それと同じ内容の映画を見た事があるのだ。ぶつかった男と女が入れ替わってしまう話。その映画のラストは、どんなんだったっけ? 目の前の俺(つまり俺とぶつかった相手)は、状況を理解したのか、ずっと泣いていた。俺が話しかけても返事すらない。 まったく、泣きたいのはこっちだっつの。こんなガリガリの貧弱な体にされて、この先どうやって生きてけばいいんだ?恥ずかしくて町だって歩けやしねえ。 俺はずっと強い人間だった。 子供の頃、いじめや迫害を受けた時も一度だって泣いた事はなかった。くやしさは格闘技の練習でぶつけた。俺にケンカで勝てる奴はいなくなり、俺はいつの間にか、いじめられなくなっていた。 その俺が、その俺がだ。今だって泣いているような、こんな弱い生き物の姿になってしまった事が勘弁ならねえ。 神様、アンタを恨むぜ。いつか会ったら、横っ面張り飛ばしてやっからな。 でもくよくよしてんのは俺らしくねえ。この体を鍛えて、いつか前の自分より強くなってやるぜ。 それに男になる事が出来たのは、少し嬉しい。俺は強い女なのだ。
by taketoshinkai
| 2005-02-19 18:27
| うそ日記
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